2024年 10月 2日
朝、目が覚めた瞬間に何かを忘れたと気づいた。何を忘れたのかは分からなかった。それでも一日中、その空白が体のどこかに引っかかっていた。夕方に川沿いを歩いた。水が光っていた。それだけだった。
2024年 10月 9日
あの人から連絡が来た。三ヶ月ぶりだった。用件は他愛のないことで、でも私は返信を四回書き直した。結局送ったのは「了解しました」だけだった。うまく行かない。いつもそうだ。
2024年 10月 17日
夢の中で知らない街を歩いていた。建物はどこか見覚えがあるのに、名前が出てこない。路地の奥に誰かがいた。声をかけようとしたら目が覚めた。部屋が静かすぎた。自分の呼吸の音がうるさかった。
2024年 10月 24日
展示の準備をした。床に這いつくばって配線を通した。誰かに手伝ってほしかったけれど、頼む相手が思い浮かばなかった。いつからそうなったのか、もう分からない。作品は、たぶん、悪くない。
2024年 11月 3日
雨が一日中降り続けた。窓の外を見ながらコーヒーを飲んだ。傘が揺れていた。誰かに連絡しようと思って、やめた。理由はよく分からなかった。こういう日が続いている。
2024年 11月 11日
図書館で二時間過ごした。本は一冊も読まなかった。ただ、人が静かにページをめくる音を聞いていた。あの音が好きだということに、今日初めて気づいた。帰り道、少しだけ軽かった。
2024年 11月 19日
また一人で飯を食べた。それだけ。記録することが何もない日というのが、最近多い。それでも日記を書いているのは、書かないと本当に何もなかったことになる気がするから。そういう怖さがある。
2024年 11月 28日
ひさしぶりに笑った。理由はもう覚えていない。でも笑ったことは覚えている。それで十分かもしれない。そうじゃないかもしれない。まだよく分からない。